目指せ「ソラを“描”ける少女」! 十人十色な女の子たちが送る、色彩豊かな学園生活。「GA 芸術科アートデザインクラス」第3巻。その1

「ところで、芸術と美術って、違いは何なの?」

 読んでたマンガに刺激されたらしく、突然タカオさんが疑問をクチにしました。

「たとえば英語では、どちらも"アート"なんだろ、"art"。英語圏の人はコレ、一体ドコで区別してんのよ」

 うーん。判りませんけどやっぱり文脈から判断してるんじゃないでしょうか。英語の"art"の意味は、多義的ですからね。たとえば、有名な格言として「芸術は長く、人生は短し(Art is long, life is short. )」ってあるでしょ? 本来、ヒポクラテスは“医術”の意味で"Ars"と言ったのに、英語に訳す際、“技術”という意味も含む "art" にこれを当てはめたもんだから、格言の意味も少し変わって現在に至っているという……。面白いですね。ちなみに、日本語の「藝術」ってのは、元を辿ればこの art の訳語なんだそうですよ。だから、芸術の方が美術よりも広い範囲を含むわけです。……というか、確か『GA』1巻で描いてありましたよね、それ。もう忘れましたか?

「いや、『芸術科は 美術と音楽の 2クラスあるんだ』ってヤツだろ。流石にそれは覚えてる。だから、“芸術”についてはイイよ。むしろ、“美術”の意義がわかってないかもしれん」

 一般的には、絵画と彫刻、建築の一部や工芸ってことみたいですけど……。ま、わからなくても別に『GA』ちゃんと読めばいいんですよ。それで充分ついて行けますから。


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きゆづきさとこ

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「と、いうわけで、今回の課題本は『GA 芸術科アートデザインクラス』だな。いやぁ、ついに出たね、第3巻。前巻から数えて、約1年半ぶり。長かった……」

 まだ、こうして連載が続いてて、単行本が出てるってだけでも充分ですよ。きらら本誌で連載中の『棺担ぎのクロ。〜懐中旅話〜』は、完全に中断しちゃって、単行本が出る気配すらありませんので……*1。あっちの方は、現在凄くいいトコロで中断してるんですよ、信じられませんよ!?

「――まぁ、『クロ』の話はこの際、置いておこうか。話し始めたら長くなりそうなので。問題は『GA』だよ。3巻の見所はドコかね、佐久良タン」

 いや、随所に見るべきところが多数あるのですけども、それじゃまずはカバー絵から行きましょうかね。とにかく、この一枚絵は素晴らしいです。構図といい、配色といい、ちゃんと作者側の「こう見せよう」という意識が明確に感じ取れます。背景が青色というのにも意表を突かれましたが、それに併せて、キャラクタの瞳や髪の色をきちんと変えてきている点など、流石は美術の素養を身につけて色事典を読み込んでいる作者ならではだなぁと思いましたよ*2。加えて、周囲の色鉛筆の配置は“色相環”ですしね。こういうこだわりは、何より素敵です。タカオさんの方はどうでしたか?

「いやぁ、確かにキレイだよな。『キサラギの膝小僧』」

 あんた、人の話、全然聞いてないのッ!? というか、――タカオさん。ここは貴方のマニアックな嗜好について語る場所ではありませんよ!?

「ああ、ごめんごめん。つい本音が――じゃなかった、冗談が出てしまった。いや、俺が気になったのは、配色とかそんなんじゃなくて純粋に絵のことな。というのもまさか、カバー絵に作者が“夏服”描くとは思わなかったからさ。本編でも、3巻最後に収録されてる話でようやく夏服が登場してるだろ。実は厳密に言うと、その話を収録してた先月号の雑誌本誌の表紙絵が既に夏服だったわけだけど*3、既にイメージとして定着している深赤色のブレザーを捨ててまで、わざわざ馴染みのない服を着せたってところが、度胸あるなぁと考えたわけだよ」

 実際にはそれより先に、P.29の芦原・水渕の回想話で夏服は1ページだけ登場してるんですけどね。それよりも、貴方が言いたいのは、「GA材置き場」の夏服ネタ*4でしょう? 違いますか?

「そういや、そんなネタもあったような……。」





「これか。もう完全に忘れてたよ。よく憶えてたなあ。まぁ、夏服については結構意外な点が多かったから、それだけでも、いろいろ話題は膨らませられると思うけどね。キョージュのみベストの色がグレーだったり、リボンをしっかりノダミキが身につけてたり、ナミコさんはやっぱりシャツ一枚なんだな、とか思ったりとかさ」

 ノダちゃんがリボンを気にしてるってのは、「コミックス3巻かけかえカバー」の袖のコマで描かれてますので参考に*5。……じゃあ、タカオさん。まだ私たち、単行本カバーと制服の話はおしまいにして、そろそろ本編についての議論をしていきましょうか。

「じゃあ、いよいよ本編に……と思ったけれど、それについては長くなりそうなので、とりあえず次回へ持ち越そう。なんか知らんウチに画像とかも既に多くなってきたしな。ま、焦る必要もないだろ」

 えぇーー! もう終わるの? マンガの話をするつもりが、ページすら開かずにカバーの話だけで終了しまうなんて、前代未聞ですよ。それでいいんですか。いいんですね? じゃあ、今回はひとまずここまでで。いよいよ、次のエントリでは注目の本編について触れていくつもりです。てなわけで、乞御期待。



「GA 芸術科アートデザインクラス」第3巻。その2
「GA 芸術科アートデザインクラス」第3巻、その3