ローリング・スポ根、略してロリコン!? 電撃文庫の問題作に刮目せよ。蒼山サグ「ロウきゅーぶ!」第3巻


「君が思う そのままのこと 歌う誰か見つけても すぐに恋に落ちてはダメさ♪ (お仕事でやってるだけかもよ?)*1

 大槻ケンヂ的な何かを口にすると、タカオさんはこちらを振り向いて、声高に叫びました。

「つまりは、一定の表現がなされているからといって、その内容が必ずしも作者の意思と合致しているとは言えないのだよ!」

 そんな当たり前のことを、今更重大事件のように叫ばれても……。で結局、何が言いたいんですか。タカオさん自身の意図は? 今回は、作者擁護ですか、それとも、作者批判なんですか? どっちなんです?

「敢えて言うなら、『どちらでも、ない』かな。1巻読んだときは、作者も可哀想にと思ったモンだが、3巻の時点では結構作者がノリノリでやってるフシが垣間見えるからなぁ。ここまでロリコンネタ中心に売り込まれたら、もう笑うしかないんじゃないの? もっとも、案外、作者がMッ気を発揮して、『書くのがイヤだとは思いつつも、つい筆が滑ってしまっている状態』だったらもっと笑えるけど」

 ――なんですか、そのツンデレな心理状態は。というわけで、今回は第15回電撃小説大賞<銀賞>受賞作第3弾「ロウきゅーぶ!」第3巻の話です。これ、刊行ペースが異常に早いですけど、意外と人気あるんでしょうか? やっぱりみんな、『小学生とか好きだから*2』とか思ってるのかなぁ。正直、私にはよく判りません。

「とか言いつつ、この本、買ってきたのは佐久良タンじゃないか。よく買えたよな。カバー絵とか、帯の煽り*3とか、恥ずかしくてオレにはリアル書店でこれを買える気がしないぞ。人間、羞恥心は最後の砦デスヨ?」

 貴方だけには、そんな事言われたくありませんが……。なんかね、夏に某オフ会へ参加したとき、隣席に居たリッパーさんに勧められたんです。『このスポ根が、すごい』って。リッパーさん曰く、「ライトノベルには売れないジャンルが3つある。1つは、スポ根。1つは、海洋SF。もう1つは……」忘れちゃいましたけど、とにかく、そんな中、売れてるスポ根があるから読むと良い、って風に言いくるめられまして……。

「それで、試しに買ってきたってわけか。で、いざフタを開けてみたらスポ根の皮を被ったロリコン小説だった、と。どんなビックリ箱だよ」

 いや、ちゃんと説明を受けてたんですよ!! スポ根小説を売るために、編集側が絵とかキャラとかで「ロリ寄せ*4」してるっていう話はちゃんと。だから、そういう変な作品だったらタカオさんも気に入るだろうな、と思ってお土産に買ってきたワケなんですけれども。……ダメ、かな?

「確かに、1巻は受賞作なだけあって、スポ根の熱血度合いといい話の展開といい良く纏まってたと思うぞ。実際、ラスト付近では感動しそうになったしな。けど、3巻読んだ限りでは。うーん。なんでこうなったんだろう。というか、口絵とかも(ロリ寄せ的な意味で)ひどすぎる。1巻はメイド服、2巻はパジャマ、3巻は水着だし。もうバスケ関係ねーじゃん!」

 一応、タイトルは「籠球部」つまり、そのまんま「バスケ部」ですからね。もっとも、最近の中高生には「籠球」って言っても通じないと思いますけど。ストーリー的にも、揺るぎないくらいバスケの小説でしたが……それが3巻では、なぜこんな事に。今回に至っては、ストーリーの半分くらいが、プールの話でしたからね。水着の絵を入れるために、無理矢理そうしたとしか思えません。作者はこの現状を、一体どう捉えてるんでしょうか。

「ヒントは、3巻カバーの著者紹介にあったと思うぞ。こんな感じで。

好きな食べ物はセロリ……というわけではありません。

やっぱりカロリー高めなインドカレーが大好きな模様。

著者紹介欄より


これはやはり、ロリが好きなわけではない、という意味でOK? でも、『カロリー高め=か(ロリータ)かめ』は大好きなのか。どっちなんだろう、これ。ちなみに、どうでも良いけど、『ロリじゃない』って言ってる人を見ると、kashmirの昔の一コママンガを思い出すよね。『気をつけて』ってヤツ」



 『ロリ属性がないことを強調したがる人に注意して……』てまた、懐かしいネタですね。まぁ、kashmirさんの幼女萌えマンガ*5とかに比べれば、蒼山サグの小六バスケ部マンガなんてまだまだ普通の領域でしょうけど。

「そうそう。それに高一と小六じゃ、4歳くらいしか年齢差もないから、そんなに言うほどロリコンじゃないよ。『ぼくの地球を守って』みたいな例もあったしな」 

 その例は、男女の立場が逆でしょう……。というか、年齢差以前に、小学生という事象が問題なのだと思いますけども……。ま、ロリコン小説としてではなく、純粋にスポ根小説として読める以上、まだまだ追いかける価値はあると私は思いますけどね。一応、私は擁護の立場をとっておきます。それに、なんだかんだで面白かったと思いますしね。……私は。


ロウきゅーぶ!〈3〉 (電撃文庫)ロウきゅーぶ!〈3〉 (電撃文庫)
蒼山サグ


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ISBN:9784048680769


*1:大槻ケンヂと絶望少女達林檎もぎれビーム!」より。ちなみに2番では「君の孤独分かってるような 凄い話に出会っても すぐに神と思っちゃダメさ(マニュアルで嵌めてるだけかもよ?)」

*2:元ネタは、あずまきよひこあずまんが大王」の木村先生の台詞「女子高生とか 好きだから」

*3:1巻帯では「少女はスポコン! コーチはロリコン!? 個性あふれる小学生たちに翻弄されまくりな さわやかローリング・スポコメディ!」
2巻帯では「『苺ましまろ』のばらスィー先生も大推薦っ!? そして、合宿という名のグローリーデイズが始まる!」「俺でさえ小学生は4人なのに…… by ばらスィー
3巻帯「ミュージシャンROLLY氏も大絶賛っ!?」「ロリを名乗って25年! 自他ともに認めるROLLYは! ロリを崇拝し、真心を込めて ロリを支持することを誓います! by ROLLY
「グローリーデイズ」とかって単語、よく思いつきますね……

*4:「ロリ寄せ」という単語は私の造語。富士見の「LOVE寄せ」を承けて、便宜上そう呼んだだけです。

*5:百合星人ナオコサン」とか、そういうヤツ。